展示会で成果が出るスタッフは、声かけから社員への引き継ぎまでを一続きの流れとして捉え、段階ごとに「次の段階へ渡すこと」を目的に動いています。名刺の枚数だけを追うのではなく、来場者の関心を聞き取って社員の商談へつなぐところまでが、スタッフの仕事です。
この記事では、展示会のスタッフ・キャストを手配しているCharmapが、ブースでのスタッフの動き方を5つの段階に分けて整理します。展示会スタッフの役割の種類や依頼先については、展示会スタッフとは?役割・業務内容・依頼先の種類で説明しています。
成果が出る展示会スタッフの動き方とは
展示会の成果は、多くの場合「名刺の数」と「商談の数」で測られます。ところが、名刺は集まったのに商談にならない、という結果はよく起こります。原因の多くは、スタッフの動きが声かけと名刺交換で止まり、来場者の関心が社員に伝わっていないことにあります。
成果が出るスタッフは、ブースでの接客を次の5つの段階に分け、それぞれの段階で何を達成すれば次へ進めるかを分かったうえで動いています。
| 段階 | スタッフの目的 | 次の段階へ進む目安 | よくある失敗 |
|---|---|---|---|
| 1. 声かけ | 通路を歩く来場者に、ブースへ目を向けてもらう | 来場者が足を止める、こちらを見る | 全員に同じ言葉をかけ続ける |
| 2. 立ち止まり | ブースに一歩入ってもらう | 展示物やパネルに目を向ける、質問が出る | 立ち止まった瞬間に長い説明を始める |
| 3. 一次説明 | 何の会社で、何が解決できるかを短く伝える | 来場者が自分の状況を話し始める | 製品の機能を順番に全部説明する |
| 4. ヒアリング | 来場者の課題・検討状況・役割を聞き取る | 社員につなぐべき人かどうか判断できる | 名刺をもらった時点で会話を終える |
| 5. 引き継ぎ | 聞き取った内容と一緒に、社員へ来場者を渡す | 社員が来場者の状況を知った状態で話し始める | 「この方お願いします」だけで渡す |
この表のうち、成果に最も効くのは4と5です。1〜3は来場者を集める段階、4と5は集めた来場者を商談へ変える段階だからです。
1. 声かけ:全員に同じ言葉をかけない
声かけの目的は、名刺をもらうことではなく、来場者にブースへ目を向けてもらうことです。
- ブースの内容が分かる一言にする:「〇〇でお困りではないですか」のように、何の展示かが一言で伝わる声かけにします。「どうぞご覧ください」だけでは、通り過ぎる理由を与えてしまいます。
- 来場者の様子で言葉を変える:パネルを見ている人、急いでいる人、同僚と話している人では、かける言葉もタイミングも変わります。
- 立ち位置を通路側にとる:ブースの奥で待っていても、来場者とは目が合いません。通路の流れを妨げない範囲で、通路に近い位置に立ちます。
声かけの言葉は、出展企業の製品と来場者の層によって変わります。事前に出展企業とスタッフで、ブースの「一言目」を決めておくと、スタッフごとのばらつきが減ります。一言目の決め方と名刺交換までの流れは、展示会で名刺獲得数を増やす声かけのコツ:一言目の決め方と名刺交換への流れで詳しく説明しています。
2. 立ち止まり:説明より先に、相手に話してもらう
来場者が足を止めたら、すぐに製品説明を始めたくなります。ここで長い説明を始めると、来場者は「つかまった」と感じて離れていきます。
立ち止まった直後は、来場者が答えやすい短い質問を1つして、相手に話してもらうことを優先します。たとえば「普段はどのようなお仕事をされていますか」「今日はどんな製品を探しにいらっしゃいましたか」といった質問です。相手の答えによって、次に何を説明するかが決まります。
3. 一次説明:何が解決できるかを短く伝える
一次説明でスタッフが伝えるのは、何の会社で、来場者のどんな課題が解決できるかです。製品の機能を順番に説明する必要はありません。
- 来場者が話した課題に近い特長を、1つか2つに絞って伝える。
- 価格や導入条件、技術的に詳しい内容は、無理に答えず社員へつなぐ。
- 分からないことを推測で答えない。「担当の者から詳しくご説明します」と言える状態にしておく。
どこまでをスタッフが説明し、どこから社員が説明するかは、事前に出展企業が決めておきます。この線引きがないと、スタッフは答えられない質問のたびに社員を探すことになり、来場者を待たせてしまいます。
4. ヒアリング:名刺をもらったあとに聞くこと
名刺交換は会話の終わりではなく、ヒアリングの始まりです。名刺だけでは「どんな課題を持った人か」が分からず、展示会後の連絡が一律になってしまいます。
スタッフが聞き取りたいのは、おもに次の4つです。
- 課題:いま困っていること、展示会で探しているもの。
- 検討の状況:情報収集の段階か、比較・導入を検討している段階か。
- 役割:決める立場か、情報を集めて社内に報告する立場か。
- 次の希望:資料がほしいか、詳しい説明を聞きたいか、後日の連絡を希望するか。
4つすべてを聞き出す必要はありません。会話の流れの中で聞けた分だけを、次の引き継ぎで社員に渡します。それぞれを聞き出す質問の例は、商談につながる展示会のヒアリング項目:スタッフに持たせる質問リストにまとめています。
5. 引き継ぎ:聞き取った内容と一緒に渡す
スタッフの仕事で、商談化に最も直結するのが引き継ぎです。社員に来場者を渡すとき、「この方お願いします」だけで渡さず、聞き取った内容を一言添えます。
たとえば「〇〇の管理に手間がかかっていて、来期に向けて比較されているそうです」と添えるだけで、社員は同じ質問を繰り返さずに本題から話し始められます。来場者にとっても、同じ説明を二度しなくて済みます。
その場で社員につなげない場合(社員が商談中、来場者が急いでいるなど)は、名刺と一緒に聞き取った内容をメモに残します。
引き継ぎメモのひな形
ヒアリングの内容を名刺と一緒に残すときは、次の項目をそろえておくと、展示会後の連絡で優先順位をつけやすくなります。会期前に出展企業とスタッフで項目をそろえ、紙かアンケートフォームで用意しておきます。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 対応した時間・スタッフ名 | 2日目 14時ごろ/担当スタッフの名前 |
| 課題 | 〇〇の管理に手間がかかっている |
| 検討の状況 | 情報収集/比較中/導入を検討中 |
| 役割 | 決裁者/担当者/情報収集のみ |
| 次の希望 | 資料送付/詳しい説明/後日連絡/特になし |
| 社員への引き継ぎ | その場で済み(社員名)/後日対応 |
| ひとこと | 会話の中で気になったこと |
記入は短くて構いません。大切なのは、名刺の束ではなく、来場者ごとの状況が残ることです。メモをもとにその場で来場者の優先度を付けておく方法は、当日スタッフがその場でリードをランク分けする方法で説明しています。
社員とスタッフの役割分担を会期前に決める
5つの段階を誰が担うかは、出展企業の社員の人数と、スタッフに任せる範囲によって変わります。会期前に、少なくとも次の3つを決めておきます。
- スタッフが担う段階:声かけ・立ち止まりまでか、一次説明・ヒアリングまで任せるか。
- 社員につなぐ基準:どんな来場者を、どのタイミングで社員に渡すか。
- スタッフが答えてよい範囲:製品の説明はどこまでか。価格や導入条件に答えてよいか。
あわせて、スタッフ向けの説明資料(会社と製品の概要、声かけの一言目、よくある質問と答え、社員につなぐ基準)を用意しておくと、当日の判断がぶれにくくなります。
展示会キャストに何を任せられるかは、展示会キャストとは?スタッフ・コンパニオンとの違いと選び方でも整理しています。
会期中に動きを直す
会期が複数日ある展示会では、初日の動きをそのまま続けるより、日ごとに直していくほうが成果につながります。
- 朝:その日の目標と、前日にうまくいった声かけ・うまくいかなかった声かけを共有する。
- ピークの前後:混雑する時間帯の配置と、社員への引き継ぎの流れを確認する。
- 終わり:引き継ぎメモを見返し、どんな来場者が多かったか、社員につなげなかった来場者はいなかったかを振り返る。
終わりの振り返りの進め方とシートは、会期中に毎日やるスタッフとの振り返り:翌日の動きを直す進め方とシートで紹介しています。
Charmapの考え方
Charmapは、展示会キャストの育成・派遣と展示会の運営支援を行っています。受付、来場者誘導、商品説明、サンプリング、ステージ進行まで、ブースの第一印象をつくる役割をチームで担います。チームの考え方は、Charmapの展示会キャスティング:展示会成果に特化したキャストチームの考え方で紹介しています。
Charmapでは、キャストを「ブースに立つ人」ではなく、ブースの成果に関わる役割として捉えています。この記事で紹介した5つの段階と引き継ぎメモのひな形は、出展企業とスタッフが会期前に役割分担を決めるときの土台としてお使いください。展示会コンパニオンに求められる役割が「迎える人」から「商談につなぐ人」へ変わってきた背景は、展示会コンパニオンとは?いま求められる役割の変化で説明しています。
また、Charmapはキャストが安心して働ける現場づくりのため、セクシュアルハラスメント防止方針(SAFE WORK POLICY)を定め、現場ごとに責任者を置いています。スタッフが来場者の不適切な言動に気をつかわずに済む現場は、声かけやヒアリングに集中できる現場でもあります。
展示会のスタッフ・キャストの依頼や、どの段階をスタッフに任せればよいかのご相談は、お問い合わせからお気軽にどうぞ。
よくある質問
展示会スタッフの成果は、名刺の数で評価すればよいですか?
名刺の数だけで評価すると、声かけと名刺交換で止まり、商談につながらない名刺が増えがちです。名刺の数に加えて、聞き取った内容が残っている名刺の数や、社員に引き継いだ来場者の数もあわせて見ると、スタッフの動きが商談化に向かいやすくなります。
外部のスタッフにヒアリングまで任せても大丈夫ですか?
聞き取る項目と、社員につなぐ基準を事前に決めておけば任せられます。課題・検討の状況・役割・次の希望といった項目をそろえ、価格や導入条件など答えられない質問は社員へつなぐ、と決めておくのが基本です。
会期の途中からスタッフの動きを変えてもよいですか?
変えて構いません。複数日の展示会では、初日にうまくいった声かけや、社員につなげなかった来場者を振り返り、翌日の動きに反映するほうが成果につながります。変更点は朝のうちにスタッフ全員へ共有します。


