展示会で名刺獲得数を増やす声かけのコツは、ブースの内容が一言で伝わる「一言目」を会期前に決めておき、来場者の様子を見て声をかける相手とタイミングを選び、短い会話から自然に名刺交換へつなぐことです。たくさんの人に同じ言葉をかけ続けるより、立ち止まる理由のある人に、立ち止まる理由のある言葉をかけるほうが、名刺は集まります。
この記事では、展示会のスタッフ・キャストを手配しているCharmapの視点で、声かけの考え方と、会期前に用意しておきたい「声かけシート」をまとめます。声かけから社員への引き継ぎまでの全体の流れは、成果が出る展示会スタッフの動き方:声かけから商談化までで説明しています。
展示会の声かけで名刺が集まらない理由
声かけをしているのに名刺が集まらないとき、原因はたいてい次の3つのどれかです。
| 原因 | 起きていること | 直し方 |
|---|---|---|
| 一言目が伝わらない | 「どうぞご覧ください」「よろしくお願いします」だけで、何の展示か分からない | 来場者の課題や業種が入った一言目に変える |
| 声をかける相手を選んでいない | 急いでいる人や、すでに別のブースを目指している人にも同じように声をかけている | 足取りや視線を見て、立ち止まりそうな人から声をかける |
| 名刺交換までの道筋がない | 会話は盛り上がったが、名刺をいただくきっかけがないまま終わる | 名刺交換を「お願い」ではなく「次の約束」として切り出す |
声かけは、名刺をもらう行為ではありません。来場者にブースへ目を向けてもらい、話を始めるきっかけをつくる行為です。名刺交換は、その会話の延長で起こります。
コツ1:一言目は「何の展示か」が伝わる言葉にする
通路を歩く来場者が一つのブースに目を向ける時間は、ほんの一瞬です。その一瞬で「自分に関係がありそうか」が伝わらなければ、来場者は通り過ぎます。
一言目は、次のどれかを入れると伝わりやすくなります。
- 来場者の課題:「〇〇の管理でお困りではないですか」
- 来場者の業種や職種:「製造業の品質管理の方向けの展示です」
- ブースで体験できること:「〇〇を実際に操作できるデモをご用意しています」
- ブースで手に入るもの:「〇〇の導入事例をまとめた資料をお配りしています」
反対に、「どうぞご覧ください」「新製品です」だけの一言目は、来場者にとって立ち止まる理由になりません。場面ごとの具体的なトーク例とNG例は、展示会の呼び込みトーク例とNG例にまとめています。
一言目は、スタッフ一人ひとりに考えさせるより、会期前に出展企業とスタッフで決めておくのが確実です。スタッフごとに言葉がばらつくと、うまくいった言葉が共有されず、会期中に改善もしにくくなります。
コツ2:声をかける相手とタイミングを選ぶ
すべての来場者に声をかける必要はありません。立ち止まる可能性の高い人から声をかけるほうが、同じ時間で多くの会話が生まれます。
| 来場者の様子 | 声をかけるか | 声かけの方向 |
|---|---|---|
| ブースのパネルや展示物に目を向けている | 声をかける | 見ている内容に合わせた一言をかける |
| 歩く速度がゆっくりで、周りのブースを見ている | 声をかける | 一言目で何の展示かを伝える |
| 会場マップやパンフレットを見ている | 声をかける | 探しているものを短く聞く |
| 同僚と話しながら歩いている | 会話の切れ目を待つ | 話に割り込まず、目が合ったときに声をかける |
| 足早に通路を進んでいる、別のブースを目指している | 無理に呼び止めない | 会釈だけにする。資料を差し出すなら一度だけ |
| すでに別のスタッフと話している | 声をかけない | 会話が終わるまで待つ |
タイミングは、来場者がブースの前に差しかかる少し手前が目安です。ブースを通り過ぎてから後ろから声をかけると、来場者は振り返る必要があり、立ち止まりにくくなります。
コツ3:立ち位置と体の向きで、声をかけやすくする
声かけの言葉が同じでも、立ち位置で結果は変わります。
- 通路側に立つ:ブースの奥やカウンターの後ろで待っていると、来場者と目が合いません。通路の流れを妨げない範囲で、通路に近い位置に立ちます。
- 通路をふさがない:通路に出すぎたり、複数のスタッフが横一列に並んだりすると、来場者は避けて通ります。
- 体を斜めに向ける:来場者に正面から向き合うと、相手は身構えます。ブースの展示物と来場者の両方が視界に入るよう、体をやや斜めに向けます。
- スタッフ同士で話し込まない:スタッフ同士の会話が続いていると、来場者は声をかけにくくなります。
複数のスタッフがいる場合は、声かけ役・ブース内の案内役・受付役のように、担当する位置を分けておくと、通路側が空く時間が減ります。
コツ4:一言目のあとは、短い質問で相手に話してもらう
来場者が足を止めたら、すぐに製品説明を始めず、答えやすい短い質問を1つします。
- 「普段はどのようなお仕事をされていますか」
- 「今日はどんな製品を探しにいらっしゃいましたか」
- 「〇〇は、いまどのように管理されていますか」
相手の答えを聞いてから、その人に関係のある内容を一つだけ伝えます。来場者は「自分の話を聞いてもらえた」と感じると、会話を続けやすくなります。
ここで大切なのは、質問を重ねすぎないことです。声かけの段階で聞くのは1〜2問にとどめ、詳しい課題や検討の状況は、立ち止まってもらった後のヒアリングで聞きます。ヒアリングで聞く項目は、商談につながる展示会のヒアリング項目で質問リストにしています。
コツ5:名刺交換は「次の約束」として切り出す
会話が続いても、名刺交換のきっかけがなければ、来場者はそのまま次のブースへ行ってしまいます。名刺をいただくときは、来場者にとっての理由を添えて切り出します。
- 「今日お話しした内容に合う資料を、後日お送りしてもよろしいですか。お名刺をいただけますか」
- 「担当の者から詳しくご説明できるよう、お名刺をいただけますか」
- 「デモをご覧になった方に事例集をお送りしています。お名刺をいただいてもよろしいですか」
「名刺をください」とだけお願いすると、来場者は何のために渡すのか分からず、断ったり、とりあえず渡して終わりにしたりします。理由を添えると、来場者も名刺を渡す意味を理解でき、後日の連絡につながりやすくなります。
名刺をいただいたら、それで会話を終えず、課題や次の希望を一言聞いて、名刺と一緒に残すことが商談につながる名刺を増やす近道です。
会期前に用意する「声かけシート」のひな形
声かけを個人の勘に任せないために、会期前に出展企業とスタッフで次のシートを作っておきます。1枚にまとめ、スタッフ全員が当日の朝に見返せるようにします。
| 項目 | 書く内容 | 記入例 |
|---|---|---|
| ブースの一言目 | 何の展示かが伝わる声かけ(2〜3パターン) | 「〇〇の管理でお困りではないですか」 |
| 声をかけたい来場者 | 業種・職種・課題 | 製造業の品質管理の担当者 |
| 立ち止まった後の質問 | 答えやすい質問(1〜2問) | 「〇〇はいまどのように管理されていますか」 |
| 一次説明で伝えること | 来場者の課題に合わせて伝える特長(1〜2つ) | 手作業の集計を減らせる |
| 名刺交換の切り出し | 名刺をいただく理由 | 事例集を後日お送りする |
| 社員につなぐ合図 | どんな来場者を、どう社員に渡すか | 導入を検討中の方はその場で社員へ |
| 答えないこと | スタッフが答えない質問 | 価格・導入条件・技術の詳細 |
このシートは、会期中に書き換えて構いません。うまくいった一言目、反応が薄かった一言目を、その日のうちにシートへ反映していくと、翌日の声かけが良くなります。
名刺の「数」と「中身」を両方見る
声かけの成果は、名刺獲得数で見るのが分かりやすい方法です。ただし、名刺の数だけを目標にすると、スタッフは声かけと名刺交換を急ぐようになり、課題を聞き取れていない名刺が増えます。
名刺の数とあわせて、課題や次の希望が書き添えられた名刺がどれだけあるかも見ると、声かけからヒアリング、社員への引き継ぎまでがつながりやすくなります。声かけの後の段階については、展示会キャストの役割を説明した展示会キャストとは?スタッフ・コンパニオンとの違いと選び方もあわせてご覧ください。
Charmapの展示会キャスト
Charmapは、展示会キャストの育成・派遣と展示会の運営支援を行っています。受付、来場者誘導、商品説明、サンプリング、ステージ進行まで、ブースの第一印象をつくる役割をチームで担います。
声かけは、ブースの第一印象をつくる最初の仕事です。Charmapは、キャストが安心して声かけや接客に集中できる現場づくりのため、セクシュアルハラスメント防止方針(SAFE WORK POLICY)を定め、案件開始前に関係者へ方針を共有し、現場ごとに責任者を置いています。
展示会の声かけをどう組み立てればよいか、キャストに何を任せればよいかのご相談は、お問い合わせからお気軽にどうぞ。
よくある質問
声かけはスタッフ全員がしたほうがよいですか?
全員が通路に出る必要はありません。声かけ役、ブース内の案内役、受付役のように担当を分けたほうが、通路側が空く時間が減り、立ち止まった来場者を待たせずに済みます。混雑の具合に合わせて、担当を入れ替えます。
声かけの言葉は、スタッフに任せてもよいですか?
言い回しの細かな調整は任せて構いませんが、一言目の内容は会期前に出展企業とスタッフで決めておくのが確実です。何の展示かが伝わる一言目をそろえておくと、スタッフごとのばらつきが減り、うまくいった言葉を全員で共有できます。
名刺をいただけなかった来場者は、どうすればよいですか?
無理に名刺を求めず、資料やパンフレットを渡して会話を終えます。名刺交換を急いで断られるより、来場者が「話を聞いてもらえた」と感じて帰るほうが、後日の問い合わせにつながることがあります。


