展示会で商談につながるヒアリングは、課題・検討の状況・役割・次の希望の4項目を、来場者が答えやすい短い質問で聞き取り、名刺と一緒に残すことです。4項目がそろわなくても構いません。聞けた分だけでも名刺に書き添えてあれば、社員は展示会後の連絡で同じ質問を繰り返さずに、本題から話を始められます。

この記事では、展示会のスタッフ・キャストを手配しているCharmapの視点で、スタッフにそのまま持たせられる質問リストと、聞き取った内容の残し方をまとめます。声かけから社員への引き継ぎまでの全体の流れは、成果が出る展示会スタッフの動き方:声かけから商談化までで説明しています。

なぜスタッフにヒアリングを任せるのか

名刺交換だけで会話を終えると、展示会の後に残るのは名刺の束です。誰が何に困っていて、どこまで検討が進んでいるのかが分からないため、展示会後の連絡は全員に同じ内容を送ることになりがちです。

来場者と最初に話すのは、多くの場合、声かけや受付を担当するスタッフです。そのスタッフが短いヒアリングまで担当し、聞き取った内容を社員へ渡すと、次の2つが変わります。

  • 当日:社員は、商談につながりそうな来場者との会話に時間を使える。
  • 展示会後:来場者ごとの状況に合わせて、連絡の順番と内容を変えられる。

ただし、外部のスタッフに「自由に聞いてください」と任せると、聞く内容が人によってばらつきます。そのため、聞く項目と質問の言い方を会期前にそろえておくことが前提になります。ヒアリングの前段にあたる声かけと呼び込みは、展示会で名刺獲得数を増やす声かけのコツと展示会の呼び込みトーク例とNG例で説明しています。

スタッフに持たせる質問リスト

次の表は、スタッフが来場者に聞く4項目と、そのまま使える質問の例です。「〇〇」は出展企業の製品が扱う業務や課題に置き換えます。

項目聞きたいこと質問の例記録の選択肢
課題いま困っていること、展示会で探しているもの「今日はどんな製品を探しにいらっしゃいましたか」/「〇〇で手間がかかっているところはありますか」自由記入(一言)
検討の状況情報収集の段階か、比較・導入を検討している段階か「いまは情報を集めていらっしゃる段階ですか。それとも具体的に比べていらっしゃいますか」情報収集/比較中/導入を検討中
役割決める立場か、情報を集めて社内に報告する立場か「〇〇の導入は、どちらの部署でご検討されることが多いですか」決裁者/担当者/情報収集のみ/不明
次の希望資料・詳しい説明・後日の連絡のどれを望んでいるか「よろしければ詳しい資料をお送りしましょうか。それとも担当から直接ご説明したほうがよいですか」資料送付/詳しい説明/後日連絡/特になし

記録の選択肢をあらかじめ決めておくと、スタッフは会話の後にすばやく記入でき、展示会後に集計もしやすくなります。

質問を作るときの3つのルール

  1. はい・いいえで終わらない質問から始める:「〇〇にご興味はありますか」は「いいえ」で会話が終わります。「〇〇はいまどのように管理されていますか」のように、相手が状況を話せる質問から始めます。
  2. 選択肢を添えて聞く:検討の状況や次の希望は、「AですかBですか」と選択肢を示すと答えやすくなります。
  3. 一度に聞くのは1問だけ:複数の質問を続けて投げると、来場者は尋問されているように感じます。答えを受けてから次を聞きます。

聞く順番:課題から始め、役割は最後に

4項目は、表の上から順に聞くのが基本です。

順番項目この順番にする理由
1課題来場者が話しやすく、その後の説明の内容も決まる
2検討の状況課題の話の流れで聞けば、自然に答えてもらえる
3次の希望名刺交換の理由にもなるため、名刺をいただく前後で聞く
4役割いきなり聞くと「決裁者かどうか探られている」と感じさせるため、会話が温まってから聞く

役割は、聞けなければ無理に聞かなくて構いません。名刺の部署名や役職から分かることも多いからです。

聞かないほうがよいこと

ヒアリングは、来場者に負担をかけない範囲で行います。次のことは、スタッフが聞かないように決めておきます。

  • 予算の金額:初対面の会話で予算を聞くと、来場者は身構えます。予算の話は商談の場で社員が扱います。
  • 他社との取引状況の詳細:「どこの製品を使っていますか」と細かく聞くと、来場者は答えにくくなります。来場者から話してくれた場合だけ記録します。
  • 個人的なこと:年齢や家族のことなど、業務に関係のない質問はしません。
  • 社内の事情を探るような質問:「社内で反対されていませんか」のように、来場者が答えにくい質問は避けます。

反対に、来場者から聞かれたことのうち、価格や導入条件、技術的に詳しい内容は、スタッフが推測で答えず社員へつなぎます。

社員につなぐ基準を決めておく

ヒアリングの内容によって、その場で社員につなぐか、名刺とメモを残して後日対応にするかを分けます。基準は出展企業が会期前に決め、スタッフと共有します。ヒアリングの答えから来場者にランクを付け、つなぐかどうかを決める方法は、当日スタッフがその場でリードをランク分けする方法で説明しています。

来場者の状況対応の例
導入を検討中で、詳しい説明を希望しているその場で社員につなぐ。社員が商談中なら、待ち時間と戻る時刻を伝える
比較中で、資料を希望している資料を渡し、名刺とメモを残す。社員の手が空いていればつなぐ
情報収集の段階資料を渡し、名刺とメモを残して後日の連絡に回す
課題がブースの製品と合わない無理につながず、感じよく会話を終える。名刺をいただいた場合はその旨をメモする

社員につなぐときは、「この方お願いします」だけで渡さず、聞き取った内容を一言添えます。たとえば「〇〇の管理に手間がかかっていて、来期に向けて比較されているそうです」と伝えれば、社員は同じ質問を繰り返さずに済みます。

聞き取った内容の残し方

ヒアリングの内容は、名刺と一緒に残してはじめて展示会後に使えます。記録の方法は、ブースの広さやスタッフの人数に合わせて選びます。

  • 名刺の裏に書く:準備が要らず、すぐ始められる。書く項目は略号で決めておく(例:課題は一言、検討の状況は「情・比・導」など)。
  • 記入用の紙を用意する:名刺をクリップで留められる用紙に、表の4項目と選択肢を印刷しておく。
  • アンケートフォームに入力する:タブレットなどで入力する。展示会後の集計は早いが、混雑時は入力が追いつかないことがある。

どの方法でも、対応した時間とスタッフ名を残しておくと、展示会後に「この来場者はどんな会話をしたか」をスタッフに確かめられます。

会期中にヒアリングを直す

ヒアリングの質問は、会期中に直して構いません。その日の終わりにメモを見返し、次のことを確かめると、翌日のヒアリングが良くなります。

  • 4項目のうち、聞けていない項目が多いものはどれか。
  • 来場者が答えにくそうにしていた質問はどれか。
  • 社員につなぐべきだったのに、後日対応にしてしまった来場者はいなかったか。

ヒアリングを含めたスタッフの役割の範囲は、展示会キャストとは?スタッフ・コンパニオンとの違いと選び方でも整理しています。

Charmapの展示会キャスト

Charmapは、展示会キャストの育成・派遣と展示会の運営支援を行っています。受付、来場者誘導、商品説明、サンプリング、ステージ進行まで、ブースの第一印象をつくる役割をチームで担います。

また、Charmapはキャストが安心して働ける現場づくりのため、セクシュアルハラスメント防止方針(SAFE WORK POLICY)を定めています。業務に関わるすべての人を対象に、性的な言動や無断での撮影・録音などを容認しないとしています。キャストが来場者の言動に気をつかわずに済む現場は、ヒアリングに集中できる現場でもあります。

スタッフにどこまでヒアリングを任せるか、質問リストをどう作ればよいかのご相談は、お問い合わせからお気軽にどうぞ。

よくある質問

外部のスタッフに、ヒアリングまで任せても大丈夫ですか?

聞く項目と質問の言い方、社員につなぐ基準を会期前に決めておけば任せられます。この記事の質問リストのように、項目と記録の選択肢をそろえておくと、スタッフによるばらつきも抑えられます。

ヒアリングの4項目は、すべて聞かないといけませんか?

すべて聞く必要はありません。会話の流れで聞けた分だけを記録します。特に役割は、名刺の部署名や役職から分かることも多いため、聞けなければ無理に聞かなくて構いません。

混雑してヒアリングの時間が取れないときは、どうすればよいですか?

課題と次の希望の2項目だけに絞ります。この2つがあれば、展示会後に誰へどんな連絡をすればよいかを決められます。待っている来場者には、先に資料を渡して関心を聞いておくと、社員に渡すときに話が早く進みます。