展示会の呼び込みトークは、「何の展示かが伝わる一言」→「答えやすい質問」→「来場者に合わせた短い説明」→「次の案内」の4つでできています。NGになりやすいのは、何の展示か分からない言葉、相手の話を聞かずに続ける説明、そして来場者やスタッフの容姿に触れる言葉です。

この記事では、展示会のスタッフ・キャストを手配しているCharmapの視点で、場面別の呼び込みトーク例と、よくあるNG例の言い換えをまとめます。トーク例の「〇〇」は、出展企業の製品や来場者の課題に置き換えて使ってください。声かけから社員への引き継ぎまでの全体の流れは、成果が出る展示会スタッフの動き方:声かけから商談化までで説明しています。

呼び込みトークの基本の型

呼び込みは、一言で来場者を呼び止めることではありません。来場者に足を止めてもらい、ブースの中へ案内し、社員やほかのスタッフへつなぐまでの短い会話です。

順番目的トーク例
1. 一言目何の展示かを伝え、目を向けてもらう「〇〇の管理を楽にするサービスを展示しています」
2. 質問来場者に話してもらい、関心を知る「〇〇はいま、どのように管理されていますか」
3. 短い説明来場者の答えに合う特長を1つだけ伝える「それでしたら、手作業の集計を減らせる機能があります」
4. 次の案内デモ・資料・社員の説明へつなぐ「実際の画面を2分ほどでご覧いただけます。こちらへどうぞ」

4つすべてを毎回言う必要はありません。来場者が急いでいれば1と4だけ、関心が強ければ2と3を厚くします。型を決めておくと、相手に合わせて長さを変えても、会話が「次の案内」で終わるようになります。一言目の決め方や声をかける相手の選び方は、展示会で名刺獲得数を増やす声かけのコツで詳しく説明しています。

場面別の呼び込みトーク例

通路を歩いている来場者に

  • 「〇〇でお困りの方向けの展示です。よろしければご覧ください」
  • 「製造業の〇〇ご担当の方向けに、〇〇をご紹介しています」
  • 「〇〇の事例をまとめた資料をお配りしています。お一つどうぞ」

何の展示か、誰向けかが一言で分かることを優先します。来場者が自分に関係があると思えば、足を止めてくれます。

パネルや展示物を見ている来場者に

  • 「こちらは〇〇の画面です。気になるところはありましたか」
  • 「〇〇をご検討中ですか。それとも情報収集でいらっしゃいましたか」
  • 「このパネルの〇〇、実際の操作もご覧いただけます」

すでに関心を持って見ている人には、見ている内容に合わせて話しかけます。「いかがですか」だけより、見ているものに触れたほうが会話が続きます。

デモやミニセミナーの開始前に

  • 「あと5分で〇〇のデモを始めます。お席がありますので、よろしければどうぞ」
  • 「〇〇の導入事例を10分でご紹介します。途中からでもご覧いただけます」

開始時刻、所要時間、内容の3つを伝えます。来場者は時間の見通しが立つと、立ち寄るかどうかを決めやすくなります。時間はブースの実際の進行に合わせて言い換えます。

サンプリング(試供品の配布)で

  • 「〇〇の試供品をお配りしています。普段〇〇は使われていますか」
  • 「お試しいただいた感想を、後日お聞かせいただけるとうれしいです。お名刺をいただけますか」

配って終わりにせず、手渡すときに一言質問を添えると、来場者の関心が分かり、ブースでの会話につながります。

ブースが混雑しているときに

  • 「ただいま順番にご案内しています。お待ちの間、こちらの資料をご覧ください」
  • 「担当の者が説明中のため、少しお待ちいただけますか。先にご関心のあることをお伺いしておきます」

待っている来場者を放っておくと、そのまま離れてしまいます。待ち時間に資料を渡し、関心を先に聞いておくと、社員に渡すときに話が早く進みます。

社員につなぐときに

  • 「〇〇について詳しい者がおりますので、ご紹介します」
  • (社員に)「〇〇の管理に手間がかかっていて、来期に向けて比較されている方です」

社員には、聞き取った内容を一言添えて渡します。来場者が同じ説明を二度せずに済み、社員も本題から話し始められます。社員に渡す前に何を聞いておくかは、商談につながる展示会のヒアリング項目にまとめています。

断られたときに

  • 「失礼しました。資料だけでもお持ちください」
  • 「ありがとうございます。また何かあれば、いつでもお立ち寄りください」

断られたら、追いかけずに感じよく引きます。無理に引き止めると、ブースの印象が悪くなり、周りの来場者も近づきにくくなります。

よくあるNG例と言い換え

NG例なぜNGか言い換え
「どうぞご覧ください」だけを繰り返す何の展示か分からず、立ち止まる理由にならない「〇〇でお困りの方向けの展示です」
「新製品です!」「話題の〇〇です!」来場者にとって自分に関係があるか分からない「〇〇の手間を減らす新しいサービスです」
立ち止まった瞬間に、製品の機能を順番に説明する来場者が「つかまった」と感じて離れる「普段〇〇はどのようにされていますか」と先に聞く
「名刺をください」とだけお願いする何のために渡すのか分からない「後日資料をお送りしたいので、お名刺をいただけますか」
「必ず〇〇できます」「どこよりも安いです」根拠のない約束や比較は、後で出展企業の信用を損なう「〇〇の手間を減らせた例があります。詳しくは担当からご説明します」
価格や導入条件をその場で答えるスタッフが答えてよい範囲を超えている「条件によって変わるため、担当の者からご説明します」
他社の製品を悪く言う来場者が他社の利用者である場合もあり、印象を損なう自社の特長だけを伝える
通路をふさいで、立ち去ろうとする人を引き止める周りの来場者も近づきにくくなる資料を差し出して、感じよく引く
スタッフ同士で話しながら呼び込む来場者が声をかけにくい通路側を向き、来場者に目を向ける

NG例の多くは、来場者の話を聞く前に、こちらの言いたいことを言ってしまうところから生まれます。言い換えはどれも、来場者にとっての理由を先に伝えるか、相手に話してもらう形になっています。

出展企業がキャストに言わせてはいけないこと

呼び込みのトークを決めるのは、多くの場合出展企業です。次のようなトークや役割は、キャストにも来場者にも負担になり、ブースの成果にもつながらないため、台本に入れないようにします。

  • キャストの容姿や見た目を売りにする呼び込み:キャストを「見せる」ための役割にすると、来場者の関心は製品に向かず、商談にもつながりません。
  • 来場者の容姿や身体に触れる言葉:ほめるつもりでも、相手を不快にさせることがあります。
  • 相手が望まない接触や、強い引き止め:腕を取る、行く手をふさぐといった行為は、呼び込みではありません。
  • 根拠のない約束や断言:キャストが答えられない内容を言わせると、後日の商談で食い違いが起きます。

Charmapは、セクシュアルハラスメント防止方針(SAFE WORK POLICY)で、性的な冗談や容姿・身体的特徴への言及、相手が望まない身体的接触を容認しないと定めています。この方針は、キャストだけでなく取引先や来場者も含め、業務に関わるすべての人が対象です。呼び込みのトークも、この考え方に沿って決めることをお勧めします。出展企業が事前・当日・事後にできるハラスメント対策は、展示会のハラスメントを防ぐために出展企業ができること:事前・当日・事後の具体策にまとめています。

呼び込みトークを会期前に用意する手順

  1. 来場してほしい人を決める:業種・職種・課題を一言で書き出す。
  2. 一言目を2〜3パターン作る:何の展示か、誰向けかが伝わる言葉にする。
  3. 最初の質問を決める:来場者が答えやすく、答えで関心の度合いが分かる質問にする。
  4. 短い説明を課題別に用意する:来場者の答えに合わせて伝える特長を、1つずつ決めておく。
  5. 答えない質問と、社員につなぐ合図を決める:価格・導入条件・技術の詳細などは社員へつなぐ。
  6. NG例を共有する:この記事の表のように、言わないことも台本に書いておく。

台本は、会期中に直して構いません。反応が良かった言葉、断られることが多かった言葉をその日のうちに共有し、翌日のトークに反映します。

展示会キャストにどこまで任せるかは、展示会キャストとは?スタッフ・コンパニオンとの違いと選び方でも整理しています。

Charmapの展示会キャスト

Charmapは、展示会キャストの育成・派遣と展示会の運営支援を行っています。受付、来場者誘導、商品説明、サンプリング、ステージ進行まで、ブースの第一印象をつくり、来場者が心地よく過ごせる現場をチームで支えます。

呼び込みのトークづくりや、キャストに任せる範囲のご相談は、お問い合わせからお気軽にどうぞ。

よくある質問

呼び込みトークは、台本どおりに話したほうがよいですか?

一言目と答えない質問は台本どおりにそろえ、その後の会話は来場者に合わせて変えるのがお勧めです。台本を読み上げるような話し方になると、来場者は自分の話を聞いてもらえていないと感じます。

呼び込みで声を張り上げたほうが、人は集まりますか?

大きな声を出すことより、何の展示かが伝わる言葉を選ぶことのほうが大切です。会場によっては音量のルールがあるため、出展者向けの案内も確認しておきます。

来場者から価格を聞かれたら、キャストはどう答えればよいですか?

価格や導入条件は、出展企業が「答えてよい」と決めた範囲だけを答えます。決めていない場合は「条件によって変わるため、担当の者からご説明します」と伝え、社員へつなぎます。