展示会スタッフを派遣で頼むか業務委託で頼むかのいちばんの違いは、当日、出展企業がスタッフに直接指示を出せるかどうかです。派遣なら出展企業が直接指示を出し、業務委託なら指示は受託した側(依頼先)を通すのが原則です。

この違いを知らないまま当日を迎えると、「スタッフに直接お願いしたら、依頼先から止められた」「指示を出したつもりが、だれも動いていなかった」といった行き違いが起きます。この記事では、展示会キャストの手配と運営支援を行うCharmapが、契約の前に押さえておきたい点を整理します。

なお、この記事は一般的な仕組みの説明です。個別の契約が法律上どう扱われるかは、契約の内容と現場での実態によって判断されます。判断に迷う場合は、都道府県労働局や社会保険労務士・弁護士などの専門家に確認してください。

派遣と業務委託の違い

項目派遣業務委託
スタッフを雇用・契約しているのは派遣会社依頼先(委託を受けた会社)、または個人本人
当日の仕事の指示を出すのは出展企業依頼先。出展企業は依頼先の責任者を通して伝える
依頼先に必要な手続き労働者派遣事業の許可派遣の許可は不要
出展企業が負うこと派遣先として、就業環境への配慮など法律で決められた役割契約で決めた内容の依頼。個人に委託する場合は取引条件の明示など
向いている依頼出展企業が当日の指示をすべて出したい当日の運営を、準備も含めて依頼先にまとめて任せたい

派遣とは

派遣は、派遣会社が雇用しているスタッフに、出展企業(派遣先)の指示のもとで働いてもらう仕組みです。出展企業は、受付の位置や声かけの内容、休憩の時間などを、スタッフに直接伝えられます。

派遣を事業として行うには、厚生労働大臣の許可が必要です。派遣で依頼する場合は、依頼先が労働者派遣事業の許可を持っているかを確かめます。許可番号は、依頼先のサイトや厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で調べられます。

また、雇用期間が30日以内の「日雇派遣」は原則として禁止されていて、一部の業務や、一定の条件に当てはまる人の場合に限って例外が認められています。展示会のように1日〜数日の仕事を派遣で頼む場合は、どの扱いで手配するのかを依頼先に確認しておくと安心です。

業務委託とは

業務委託は、仕事そのものを依頼先に任せる契約です。民法の上では、成果物の完成を約束する「請負」と、仕事を行うこと自体を約束する「準委任」などに分かれます。展示会スタッフの仕事は、受付や声かけといった業務を行うこと自体が中心のため、準委任として契約されることも多くあります。

業務委託では、スタッフへの仕事の指示は依頼先が出すのが原則です。出展企業が「この製品を優先して案内してほしい」「この時間は受付を2人にしてほしい」といった要望を伝えたいときは、依頼先の責任者に伝え、責任者からスタッフへ指示してもらいます。

偽装請負にならないために

業務委託として契約しているのに、実際には出展企業がスタッフに直接、細かい指示を出して働かせている状態は「偽装請負」と呼ばれます。実態が派遣と同じであるにもかかわらず、派遣の決まりを守っていないことになるため、労働者派遣法や職業安定法に違反するおそれがあります。

契約書の名前ではなく、現場での実態で判断される点に注意が必要です。派遣と請負の線引きについては、厚生労働省が区分の基準(いわゆる「37号告示」)と、その解説を公表しています。

展示会の現場で、業務委託なのに次のようなことが起きていたら、見直しのサインです。

  • 出展企業の社員が、スタッフ一人ひとりに持ち場や声かけの内容を直接指示している
  • 出展企業の社員が、スタッフの休憩や終業の時間を直接決めている
  • 依頼先の責任者が現場にいない、または連絡がつかず、実質的に出展企業がスタッフを管理している

反対に、要望を依頼先の責任者に伝え、責任者がスタッフへ指示を出している形であれば、業務委託の仕組みに沿っています。

個人に業務委託するときの注意点

マッチングサービスや知り合いを通じて、フリーランスの個人に直接業務委託する場合は、2024年11月に施行された、いわゆるフリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)の対象になることがあります。

この法律では、仕事を頼む側に、業務の内容や報酬の額、支払期日などの取引条件を書面やメールなどで示すことが求められます。頼む側が従業員を使っているかどうかや、委託の期間などによっては、報酬の支払期日の決まりや、ハラスメントへの対策などの義務もあります。詳しくは公正取引委員会・厚生労働省などの案内で確認してください。

契約前に確認するチェックリスト

展示会スタッフを依頼するときに、契約の形をめぐって当日に困らないよう、事前に確かめておきたい項目です。依頼先への問い合わせや社内の準備にそのまま使えます。

依頼先に確認すること

  1. 今回の契約は、派遣と業務委託のどちらですか。
  2. 派遣の場合、労働者派遣事業の許可番号を教えてください。1日〜数日の手配をどの扱いで行いますか。
  3. 業務委託の場合、当日の現場にだれが責任者として入りますか。責任者がいない時間帯の連絡先はどこですか。
  4. 出展企業からの要望(優先して案内したい製品、混雑時の対応など)は、いつ・だれに伝えればよいですか。
  5. 事前の説明会や資料の読み込みは、契約のどこに含まれていますか。
  6. 当日に欠員が出たときは、だれが代わりの手配をしますか。
  7. スタッフが来場者の不適切な言動に困ったとき、だれに相談し、どう対応しますか。

チェックリストの5で触れた事前準備を含め、見積もりで日当以外にかかる費用は展示会スタッフの見積もりで日当以外にかかる費用:交通費・研修・延長・キャンセルで整理しています。

社内で決めておくこと

  1. 当日、スタッフへの要望を伝える窓口になる社員はだれか(業務委託の場合は、依頼先の責任者とやり取りする人)。
  2. スタッフに任せる範囲(受付・声かけ・一次説明・ヒアリング)と、社員が担う範囲。
  3. 社員の朝礼や打ち合わせに、スタッフをどう参加してもらうか(業務委託の場合は、依頼先の責任者と相談して決める)。

展示会ではどちらを選ぶべきか

どちらが正しいということはありません。目安は次のとおりです。

  • 出展企業が当日の指示をすべて出したい:社員が現場に張りつき、持ち場や声かけの内容を細かく決めたい場合は、派遣が向いています。
  • 当日の運営を依頼先にまとめて任せたい:社員は商談に集中し、声かけや受付、スタッフの管理は依頼先に任せたい場合は、業務委託が向いています。そのぶん、要望は依頼先の責任者を通して伝える段取りが必要です。

どちらの形でも、事前に「何を任せ、何で評価するか」を依頼先とすり合わせておくことが、当日の成果につながります。任せる役割の考え方は、展示会キャストとは?スタッフ・コンパニオンとの違いと選び方で、依頼先ごとの違いは展示会スタッフの依頼先を比較:派遣会社・キャスティング会社・マッチング・個人で紹介しています。展示会スタッフの役割の全体像は展示会スタッフとは?役割・業務内容・依頼先の種類をご覧ください。

Charmapに相談する場合

Charmapは、展示会キャストの育成と手配、展示会の運営支援を行っています。また、セクシュアルハラスメント防止方針(SAFE WORK POLICY)を定め、案件の開始前に関係者へ方針を共有し、現場ごとに責任者を置いています。

契約の形や、当日の指示の出し方についてのご相談は、お問い合わせからお気軽にどうぞ。

よくある質問

業務委託で頼んだ展示会スタッフに、当日お願いごとをしてはいけないのですか?

お願いごとを伝えること自体は問題ありません。大切なのは伝え方で、業務委託の場合は依頼先の責任者に伝え、責任者からスタッフに指示してもらうのが原則です。出展企業の社員がスタッフ一人ひとりに直接、細かい指示を出し続ける形になると、偽装請負とみられるおそれがあります。

展示会の1日だけの仕事を派遣で頼めますか?

雇用期間が30日以内の日雇派遣は原則として禁止されていますが、一部の業務や、一定の条件に当てはまる人については例外が認められています。1日〜数日の仕事を派遣で頼む場合は、どの扱いで手配するのかを依頼先に確認してください。

派遣の許可を持っているかはどこで確認できますか?

厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で、許可を持つ事業者を検索できます。依頼先に許可番号を聞き、あわせて確認すると確実です。